Vol.3 風をつかまえた少年 by.ウィリアム・カムクワンバ / ブライアン・ミーラー
風をつかまえた少年 | ウィリアム・カムクワンバ, ブライアン・ミーラー, 池上 彰(解説), 田口 俊樹 |本 | 通販 | Amazon
この本を選んだ理由
主人からの勧めです。
働く意欲が湧くからと。
勧めてくれた時の言葉
「風力発電を自力でつくった少年の話。支援は物資ではなく、知識や環境であるべきと考えさせられた。今の自分は価値を生み出せているのか、本気で生きているのかを自問自答させてくれる本」
概要
黒魔術が信じられているようなアフリカの村で暮らす少年が主人公のノンフィクション。
サバイバルで貧困な生活から、“電気”の重要性を考え、自作で発電機を作るまでの話。
学んだこと
・意味のない経験はない
・考えることの重大性
主人公は幼少期にラジオを解体したり、電池をつなげなおしたりする遊びを経て、ラジオ修理の小さな商売を行った。その時、電気の並列接続と直列接続の違いや電圧について試行錯誤の元で学んでいく。
飢饉で学校を中退せざるを得なくなった後、ようやく収穫期までこぎつけて時間ができると、その時間で何か価値のあることをしたいと考え、できたばかりの図書館でひたすら本を読み、勉学の遅れを取り戻すことを選択した。
その中で物理の本と出会う。その本は難解であったため、図書館の管理人に「君にはまだ早いのでは?」と尋ねられるも、「僕は今これが知りたい」と話す。“周りと比べて足りないもの”を補うことから、“自分が心から欲するもの”を考えて勉強する対象をシフトしていく。
物理の本からは、幼少期の経験で学んだ電気のしくみを理論で学ぶことになる。“事実”として認識していた現象の一つ一つが理論でつながっていくことで、経験が知識となり、発電機を製作する知恵に発展していく。
感想
いつの時代の話なんだろうと思った。冒頭からいきなりでてくる黒魔術の話や、飢饉・貧困に耐える話など、主人公のバックグラウンドを知るほどに、2,30年前の話かなと感じながら読み進めていた。なんと恥ずかしいことに、主人公と私は1歳しか歳が離れていなかったことに驚いた。
私が「学校めんどい」「夕飯まで待てないからおやつ食べよ」と考えている間、地球の反対側ではこんか事が起こっていたのかと恥ずかしくなった。
そんな私が主人公を最も尊敬する部分は発電機を作る目的です。
彼は電気が作れれば、家業の作業のいくつかを自動化でき、時間を買えると考えました。
ここがすごいです。作業を楽にする方法として、人を雇うでもなく、手を早く動かすでもなく、人の手を電気に変えようと考えることがすごい。
私であれば「頑張ればいい」という精神論に走るか、「そういうものだから」と考えることすら放棄してしまいそうですが、彼は違いました。具体的に、不作な年でもどうすれば最低限の収入を得られるか、政権に振り回されることなく自力で備えるにはどうすればいいかを考えたのです。そしていきついたのが、時間を買うために発電機をつくることだったのです。
目に見えない時間を買うという概念は、とても大切ですが見落としてしまうものです。
多忙な仕事や生活をする上で、誰もが思ったことがあるはずです。「自分にだけあと2時間あればいいのに」と。その時間で他の人より仕事を進めたい!休息をとりたい!
でも、時間をつくる努力は後回し、もしくはやらない、そして「仕方ない」であきらめる。
この主人公は違います。電気を使えるようにすることで、まずは眠るしか選択肢のなかった夜の真っ暗な家を照らし、家族の時間と勉強する時間をつくりました。
私たちはもう明るい部屋があります。そこで何をしようか。自分がつくりたい価値は何かを考えるところから始めます。